Art, Cross Cultural

三溪園に過ごす

20130600-000一般に赤道に近ければ近いほど窓は大きく、極に近ければ近いほど窓は小さい。住居の開口部に大きさは、当然、気温に比例する。正確さを求めるなら、そこに湿 度も関わってくる。風の強さはどうか。風もまた窓の大きさを決める。気候は建物の特徴に大きな影響を与える。だが、それ以上に文化が建築に与える影響は大きい。建築そのものが文化でさえある。

平均的な日本人にとって、ドイツとイタリアの建物の違いを言えと言われても答える事は難しい。何となくイメージはわくが、明確な言葉で表現するとなると、とんと困る。フランスはどうか?これも難しい。それどころか、フランスとドイツの国境付近は、似たところが多い。

にも関わらず、フランス国内であってもコートダジュールの明るい風景とブルターニュやノルマンジーの落ち着いた風景を構成している建造物には、明らかに違い がある。ニース近郊の家々は、むしろイタリア風である。フランス人にとっても差は大きく感じられるらしく、北に住む人には南に、南に住む人には北に、エキ ゾチックな感覚を覚えるそうだ。さすがに何度かフランスを旅すればおぼろげな説明も出来ようが、日本に住んでいる身には、なかなかそのエキゾチックという 感覚を説明できるほどには違いを言えないだろう。

20130600-002数年前、横浜の本牧にある三渓園をフランス人と訪ねたことがある。三渓園は、19世紀末から20世紀初めにかけて生糸貿易で財をなした原三渓が、旧い日本家 屋を集めて移築した広大な庭園であり、日本建築の美術館のようですらある美しい場所である。海とはコンビナートや産業道路を隔てているので潮騒までは感じ られないが、横浜の喧騒からは隔絶されて、静かに時間を過ごせる貴重な場所となっている。

移築された建物は時代も地域も違うから、統一された景色とはならないところだが、建築から遥か時代を下った今となっては、その庭園空間の優れたバランスも あってか不思議と安堵を感じる風景となっている。勿論、日本建築の歴史に不案内なこともあるだろう。それでも、子供の頃から慣れ親しんだ直感のようなものが働き、建物の違いは自然と見えてくる。建物全体の形状から内部の作りまで、目を凝らすまでもない。

20130600-003加えて、三渓園の庭園には四季折々の花々が色を添える。夏前には紫陽花がよく知られているし、秋の紅葉も然りである。

フランス人を案内したのは、彼が日本通であって有名なところにはすでに足を運んでいるということもあるが、建築にも少し興味があるということだったからでもある。おそらくは、様々な建築物に違いを見いだして、興味を持ってくれるだろうと微かな期待も持っていた。

だが、いろいろと建物と庭を見て歩きながら、彼は意外なことを言い出した。つまり、フランスの建築に詳しくない日本人がその違いを的確に言えないように、彼にも日本建築どころか中国建築との違いもわからないのだと言う。

20130600-004さて、困ったことである。彼がわからないからではない。説明しなければならないからである。自分にも正しく説明出来る自信はない。

何とか探しだした説明はこうである。つまり、屋根の形状はどちらも反ってはいるが、中国よりも日本のほうが直線的であり軒の張り出しも大きい。柱などの色使 いも一般に大人しい。ほとんど自分のイメージを根拠もなく説明しただけである。もちろん、良く知らないがそんなイメージだ、と学術的根拠がないことは伝えたが、あとで調べて訂正しようにも素人にはどの文献を探したらよいか分からず、結局そのままになってしまった。今や、あまり外れていないことを祈るのみである。

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