Bonne journée

習作

201702-411

その丘は平坦な住宅街の中に腫れもののように唐突にあった。それは、丘と言うより遠い昔に誰かが思いついて作り上げた土塁のようでもあった。周囲よりわずかに高い土地が細長く広がり、その中腹をまっすぐに線路が貫いて、ちょうど中央の部分に小さな駅がある。その駅から丘のてっぺんに伸びる道を進むと古い教会風の建物があって、丘の上の街はそこから広がっていた。駅がなぜ平坦な部分でも丘の上でもない部分にあるのかは、おそらくだれもわからない。それは、あるべくしてそこにあったのだった。記録がどこかに残っていそうなものだが、どの文章を見ても最初から駅の位置はそこと決まっているかのように記載されていた。線路を通すことに反対する意見文書ですら、その線路と駅の位置は以前から不適切とされてきたと指摘するだけで、その具体的な理由には触れていなかった。丘の上に住む者にとって、駅に向かう道は町外れに向かう緩やかな下り坂に過ぎなかったが、駅から家に帰る道はだらだらと続く嫌な上り坂だった。一方で平地に住む者にとっては、駅に向かう道は夏でなくても汗をかく面倒な道であるだけでなく、どこかに行くためにわざわざ遠回りを強制する無言のルールに思えた。ただ、ずっとそうであったということだけが街の構造を正当化しているのだった。やがて正当化された無言のルールは習慣となり、誰もそれを考えようとはしなくなっていた。そうやって日常が過ぎ、ある朝誰もが気づかないまま、その丘は漂流を始めていた。

時にはスタイルを変えて書いてみるのも刺激があって良い。とはいえ、慣れない書き方は時間もかかって妙な疲労感が残される。冒頭だけで終えるのもどうかと思うが、続きを書く予定はない。

 

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